2003年9月1日月曜日

転換期を迎えた労働組合(2) 2003.9.X 初出

今回の松下労組の結成以来の大改革に対する
朝日新聞社の記事では、組合本部から権限を移譲される支部の側に
人材が足りない、という、組合員の不安の声、が紹介されていましたが、
一番の課題はそこではないか、と僕も思ったりします。

今回の自民党総裁選で、道州制移行、を掲げて闘った
亀井静香氏が敗れたため、しばらく、道州制移行、は
ないかと思いますが
行政の分野で考えてみても、仮に中央政府から
地方自治体への大幅な権限委譲があった場合
地方自治体の側が、独自法案を作成し、それを円滑に
執行できるだけの人材を抱えているのか、と
いう問題が出てくるように思うわけです。

戦後長らく、地方自治体の職員が中央官庁に
陳情、に出かけて行って、法案を作成してもらう、という形で
この国のシステムは動いてきたわけです。
当然中央官庁にはそれなりの人材も集まっているだろうし、
自分達が国を動かしているんだ、という形で
ある程度意識の高い人も多いはずです。
でも戦後長らく続いてきたそういったシステムが限界を迎えて、
これからは地方分権の時代です、と言われた時
果たして、ずっと中央官庁に、陳情、に行くのを仕事にしていた人達が、
独自に法案を作成し、且つ
円滑に執行できるだけの能力を持っているのだろうか、と
僕は疑問に思ってしまうわけであります。

構造改革の流れの中で、福岡県太宰市で独自に導入された、
歴史と文化の環境税、と呼ばれる、駐車場新税、は
結局混乱の後に中止に追い込まれてしまったようです。
そういった混乱が、これから様々な自治体で見られるようになって
いくのではないか、と僕は危惧してしまうわけです。   

昨日NHKで、新閣僚に聞く、という番組を観ていたのですが、
その中で某大臣が、自治体間での格差を容認するような発言を
されていましたが、たぶん構造改革と呼ばれるものの正体はそういう事なのだと
僕は思いました。
つまり、日本人はみんな一緒、ではなくなります。
格差がつきます、という事。

僕も、日本人はみんな一緒だよね、という環境の中で
育ってきたので、その発言を聞いていてなんだか
嫌な気分になってしまいましたが
たぶんそれが真実なのだと思います。
もう、ドラえもん、や、サザエさん、や
ちび丸子ちゃん、は出てこないという事なのだと
思います。
かっくらきん大放送、も、オレ達ひょうきん族、も
笑天、も、歌のトップテン、も出てこないのでしょう。
ドリフ大爆笑、も。
なんだか僕はとてもセンチな気分になってきました。
村上龍さん風に言えば
センチメントとは、取り戻せない過去、を思い出す事から生まれるのです。

と、取り戻せない過去、を思い出しながら
ちょっとセンチな気分になってきた僕ですが
構造改革の流れの中、地方自治体独自の新税を導入
しようとして混乱をきたし話題となっている福岡県の大宰市には、
学問の神様として名高い、菅原道真公(845~903年)を祭ったその名も、
大宰府天満宮、という由緒ある神社があります。
今回の太宰市の、歴史と文化の環境税、駐車場新税、導入においても、
この大宰府天満宮周辺の駐車場を巡っての混乱だったようです。
神社好きの僕としては、太宰市にちょっと高めの
駐車場税を払ってでも、ぜひ参拝してみたいところです。

松下電器産業労働組合の結成以来の大改革、という
ニュースから今回のエッセイを書き始めて
気がついたら太宰市の税制の話題に至ってしまいましたが、
どちらも、明治以来の画一的中央集権化の流れが終わりそうだ、という点では
共通しているような気がします。
それと中央なり本部なりから権限を移譲された
それまでの末端組織が、その権限を上手く運用していけるのか、という面でも
共通した問題点があります。
構造改革と呼ばれるもののイメージも、
僕なりにだんだんとつかめてまいりました。

で、今回は労働組合の話という事なので
脱線はこの辺で止めて、労働組合に絞って考えてみる事
にしたいと思います。



-転換期を迎えた労働組合(3)へ続く-
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/320039.html