2003年9月1日月曜日

転換期を迎えた労働組合(1) 2003.9.X 初出

松下電器産業労働組合が、1946年の結成以来の大改革に
乗り出した、というニュースが先日ありました。
2006年夏に、現在の組合本部中心の組織運営から
事業領域ごとに独立単位を設けて交渉権限を移譲する
分権型、へと移行することを柱としたものとの事です。

明治以来の画一的中央集権化の流れの中で
1940年体制の下、日本人みんなが何かに向かう
戦争へ、或いは経済戦争へ、という社会構造が
98~2002年を境にして限界を迎え
あらゆる分野のベクトルが逆に向かい始めたのではないか、という
僕の仮説は、けっこう妥当性があるかも、とこのニュースを見て思いました。

松下電器ほど大きな組織になってしまえば
当然、事業分野ごとに労働環境もかなり異なって
くるわけで、その全ての労使関係を一律に本部で
管理するという形がもう限界を迎えているという事なのかもしれません。
ヴァージングループの創始者であるリチャード・ブランソン氏や、
マイクロソフトのビルゲイツ氏は組織が大きくなりすぎて顔の見えない集団に
なってきたら分割していく事だ、と発言していましたが(ファンキービジネス
/ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・ノードストレム共著)結果を
出している組織のトップの発言だけに説得力があります。

事業領域ごとのドメイン単組に権限を移譲し
グループ共通の労働条件だけを上部組織で
管理する、という今回の松下労組の結成以来の大改革は
はたして、英断、となるのでしょうか。
ただ今回の松下労組の決断は、他の大手企業の
組合にも波及していく事は間違いないでしょう。

となると、今年の春闘の賃上げ交渉がどうのこうの、といった言い回しも、
10年後ぐらいには死語になっているかもしれません。
いや、たぶん5年後、もしかしたら3年後
もっともしかしたら、来年あたり……。

最近、死語、がものすごい勢いで
増えているような気がしますが
それだけ時代の変化が早い、という事なのでしょう。
2003年死語辞典、のようなものを作ったら
結構売れるような気がしますが、どうなのでしょう。
作ってみようかな。




-転換期を迎えた労働組合(2)へ続く-
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