2003年10月1日水曜日

小説とは何か(2) 2003.10.X 初出

小説とは何か。

手元の三省堂大辞林によると
坪内逍遥が、小説神髄、で、ノベル、の訳語として
小説、を用いた、とあります。

僕は少しガッテンしました。
国文学の世界において、官を大とし
民を小とする、官尊民卑、の思想から
官僚の編纂したものを、大説
民間説話・伝説の記録を、小説、としていたところに
西洋文明から、ノベル、という概念が
流入してきたので、その訳語として、小説、を当てはめたのだな、と。
たぶんそうだ。
きっとそうだ。
絶対にそうだ。

ちなみに英語では、小説のもっとも小説らしい部分を
フィクション、と呼ぶらしいですが
これは日本語の語感とは少し異なります。
日本語化した、フィクション、と言えば
作り話、という感じがします。
ノンフィクション、というと、事実を書きました、という感じがしますが、
やはり英語と日本語は微妙に違うのだな、と改めて認識させられてしまいます。

明治の近代化の時期には、坪内逍遥や福沢諭吉などの
先生達が、そういった英語圏の文化の背景にまで
想像力を働かせながら新概念を日本語に訳していったのでしょう。
ですが現代は新概念の流入のスピードが速すぎて
カタカナ語だけで済ませてしまうしかない、という状況のように思います。
お年寄り方からは、最近世の中カタカナ語ばかりで
何が何だか分からない、と言った声も聞こえてきます。
困ったものです。




-小説とは何か(3)へ続く-
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