2003年12月1日月曜日

卵のなかみ150回記念・2003年死語辞典(4) 2003.12.X 初出

・出世コース、春闘賃上げ交渉

これからは終身雇用制度の下での定期昇給とか
係長・課長・部長、といった形で社内で着実に
出世していく、という事が少なくなっていくので
出世コース、も死語になると思います。
仕事はどんどん個人ベースのものになっていくでしょう。

アメリカ人はかつて、仕事を聞かれた時
ゼネラルモータースにいます、とか
IBMにいます、と答えたそうですが
80年代や90年代の激しいリストラを経験してからは
仕事を聞かれた時、金融が専門です、とか
出版が専門です、とか、マーケティングの仕事を
しています、と答えるようになったそうですが
たぶん日本社会でもそうなっていくのでしょう。

5.6年前くらいまでの日本社会では
仕事を聞かれた時、多くの日本人は
~證券にいます、とか
~建設にいます、と答えたと思います。
そして世間から高く評価されている会社に
勤めている人は、誇らしく答えただろうし
合コンなどでもモテた、と思います。
でもこれからはそうではなくなっていくだろう、という
話なのです。

80年代や90年代にアメリカの企業社会が経験したように
日本でも、大きな会社にいるから一生安泰、という
状況ではなくなってきています。
そうなると仕事を聞かれた時
どの会社に所属しているか、ではなくて
金融関係に携わっています、とか
編集部門にいます、とか、会計が専門です、と
答えるようになっていくと思うのです。
所属している組織、に対する世間の評価よりも
その人個人がどういう仕事が得意か、という事が
重要になっていくように思います。

大学も同じで、昔はブランド大学の学生は
合コンなどでも、何々大学にいるよ、と言えば
女の子にモテた、ような気がしますが
これからは、大学で今何を勉強しているか、とか
何になろうとしているか、が重要になるような気がします。

関東の一流大学の学生達によるおかしな事件が
よく報道されるようになりましたが
オウムの時と同じで、どうしてこんな高学歴の
学生達が、といった問いの立て方はおかしいと思います。
いい大学・いい企業・出世コース、に乗ってる人が
理想的な日本人像、という時代は終わったのです。
これからは、どの大学を出たか、とか、どの会社にいるか、
ではなく、その人はどういう人か、何をしようとしている人なのか、
どういう能力を持っている人なのか、という事が重要になっていくと思います。
だから、出世コース、とか、春闘賃上げ交渉、といった
ある世代のサラリーマンはだいたい同じような
ライフスタイルである、という条件下での、言葉、は
全て死語になるでしょう。


-2003年死語辞典(5)へ続く-
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/15020035200312.html