2004年2月1日日曜日

痴情のもつれ(1)動物的法則 2004.2.X 初出

「僕は、君のこれからの事も考えて
そろそろ二人の関係を見直す時が
来たんじゃないかと思うんだ」

「何それ? 」

「いやだから、君のこれからの事も考えてさ
そろそろ二人の関係を……」

「何、何、何言ってるの?
それってわたしと別れたいってこと? 」

「いや、そうじゃなくて」

「あなた……他に好きな人ができたんでしょ? 」

「何言ってるんだよ、そんな事言ってないじゃないか」

「ううん、きっとそう、顔にそう書いてあるわ
わたしはあなたの事は何でも分かるのよ
他に好きな人ができたんなら、はっきりそう言えば
いいじゃないの……なのに、こんなところに
呼び出したりして」

「おい、何を言ってるんだよ、そんな事言って
ないじゃないか」

「おかしいとは思ってたんだ、前は毎晩電話して
くれたのに、最近では週に一度だけ……
他に好きな人ができたんならできたって
はっきり言いなさいよ! 」

「おい、落ち着けよ、みんなが見てるじゃないか」

「誰が見てたっていいじゃない
それで……今度のお相手はどこの誰なの? 」

「おい、落ち着けってば」

「あなたにとって、わたしっていったい何なの? 
今までの事は全部遊びだったとでも言うの? 」

「おい、落ち着けよ、落ち着けってば、おい」

「殺してやる……」

「……」

「殺してやる、殺してやる」

「おい、待てって、おい」

「殺してやる、殺してやる、殺してやる……」


ブスッ!!


「クワッ」



動物的法則……恋愛は、究極において動物的法則に支配されるものだから、自由な恋愛の危険は、自由な戦争の危険よりも、おそらくいっそう目立ちやすい。 アラン



-痴情のもつれ(1)動物的法則(完)-


痴情のもつれ(2)
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